
瀬戸墨流文七寸皿とフランス絵具皿
パレットから滴を落として、その波紋のゆくえを愉しむ画家のように、陶工は何を想って、この図を留めたでしょうか。


(見込みに一箇所剥がれがあります)
鉄質泥を滴下して攪拌、流水のような抽象模様を生み出した瀬戸の墨流し皿。
練り上げ技法の器も同様に、瀬戸を産地としたものが時折見られます。
器体は薄めで持ちやすく、普段使いにも嬉しい七寸のサイズ。

高台作りは、馬の目皿や石皿の太い輪と違い、細くシャープです。

濃淡があり鉄泥のうごきも繊細で、細い流れ、太い流れ、景色が見飽きません。

軟質陶器の絵具皿。
フランスの良質な陶器の窯元で焼かれたものでしょう。縁に釉薬が厚く溜まり、表情の豊かなファイアンスフィーヌ。
こんなに小さく、愛らしいものは初めて見ました。
板チョコのかけら、ホワイトチョコレートのような、軟らかな角形が何とも美味しそうです。
ようやく暑さも和らいで
晩夏の風は、もう秋を匂いを届けている気がします。
食欲の秋、芸術の秋。
絵画的で美味しそうでもあるマーブルの器は、実用というよりも、物質として愛でたいもの。
異国の絵具皿が、よく似合っています。

瀬戸墨流七寸皿 江戸後期 23cm径 3cm高
売約済み
フランス絵具皿 1800年代中頃 10cm×4.2cm×1cm