琉球の古陶、荒焼と呼ばれる焼き締め陶器の壺です。おそらく壺屋焼の南ぬ窯などの那覇周辺で作られたものかと思います。 

このように比較的に小ぶりな甕は、お祝いや贈り物用の酒甕として用いることもあったそうです。耳付きの甕が多い中、耳もなくコロンとゆがんで丸みある姿には古格と愛嬌を覚えました。



近頃、琉球のやきものに触れる機会が不思議と多く、沖縄の独特な風土が産んだしなやかながら力強い工芸に惹きつけられつつあります。


古壺屋荒焼酒甕 30cm高
売約済み







敷き詰めた折れ松葉が、中心を菊の花へと結んでいます。

冬の庭を霜から保護する、“敷き松葉”を幾何学的に文様化したのでしょうか。
きれいに割れてしまったものですが、風情ある模様に心をひかれました。



古伊万里敷松葉文皿 19cm径 元禄頃
売約済み







瀬戸周辺の台付鉢

見込みは灰釉がやや白濁した色合いですが全体は青磁を狙った御深井釉寄り,銅器を模した形は、寺院の儒祭の祭器である脚付盤を連想させました。




側部には鎬が施された丁寧な造り、食器では無く小ぶりな什器だったのでしょうか。

幕末になり、御深井前期の祭器を写した部類なのか果たして判りかねますが、見慣れた土味の見慣れない器形から想像する余白は思ったより大きく、楽しく思います。


鎬文台付鉢 江戸後期頃 20.5cm径 6.5cm高








立春

目を凝らすと顔があるような気がしてきた蝶と、窯割れも茎と化す草花。


初期伊万里陶片 蝶々と花
ともに売約済み







甘手でニュウも染みもありますが、膚合いと鋭い十角という形に惹かれて繕いを施しました。

古九谷手から移行する頃の柿右衛門様式辺りの造りでしょうか。口錆の黒い発色も好みです。







白磁十角皿 1700年前後頃 w12.5cm h3.5cm








満開の蝋梅

芳香は名越惜しそうに温い店内に立ち籠めています。
スペインの青、内側の黄釉と共鳴しました。

2月もほぼ木金定休で開店予定ですが、改めて月末に営業日をwebサイトにてお知らせします。今週末の土日2/1,2は通常営業です。


マヨリカ藍色アルバレロ カタルーニャ16-17世紀









冷たい雨、夜には雪となるでしょうか。

しんしんと雪の降る空、雪の結晶やつぶてを文様化したような楽しげなマヨリカ陶器。
古伊万里等にある染付の雪輪文が重なりました。手描きの窯印に造りの良い高台、状態は良く長いこと壁に掛けられていたようです。

イタリアのトスカーナの田舎町で見つけたもので、その日は真夏のような暑さ。この結晶文皿との出逢いにひとときの涼を得た憶いがあります。



マヨリカ藍絵幾何文皿 18世紀末頃 17.5cm







店舗を構えているのは、木造の古い擬洋風建築。この場所なら和洋隔てなく新旧も越えて好きなモノを紹介できるだろうと、やっております。

ですが、流石に古いゆえ環境の変化や気象に耐えられず、傷みがでてしまう状況が多々起こります。

そんな気象の影響により、破損してベニヤ仮補修のままだった踊り場吹き抜けの高窓をようやく修繕できました。
二階から落ちる陽射しは以前より増して、道具や花の見え方が幾らか明るくなったようです。


窓に嵌めたのは、新材のアクリル製。
歪みもあるので遠くから見ると昔のゆらめく硝子と錯覚するほどでした。

昭和初期の木枠窓の中へ巧く納めていただきました。
所々に傷みが出てきていますが、この建物の外観や内観の気配も損なわず、守りながら手直しして続けていきたいと思います。




コファーの上に乗せた十八世紀の白釉鉢。
冬に合う大きな雪の結晶のような器。ほぼ無傷で残ってくれたことに感謝です。



白釉八角鉢 フランス18世紀 30~32cm径 11cm高
売約済み



暖冬で梅も早咲き、風邪は治りづらいとも聞きました。春は待ち遠どおしいですが、季節は巡ってほしいものです。
民窯の李朝。よろめいた口辺へ白梅が上手く生きてくれました。


李朝白磁壺 李朝後期頃 w9.8cm h14.3cm
木彫怪獣図パネル フランス15世紀頃






1566年刊行 フランスの古書

宗教を軸とした国家の歴史が厚く綴られています。




背の花布(はなぎれ)は、出し入れする際に爪の当たりやすい部分でもある箇所を保護したもの。
淡い二色の糸を編み込んで丈夫に仕上げ、今はもう色あせていますが華やかな装飾性も意識した、つくり手の心にしみじみしました。




綴じ方や糊もこの時代の本は強固で、修復されながら今日まで長く残されています。
本の修復家は何処をどう直したか、書き記したそうですが、表紙の獣皮紙もくたびれながら丁寧な製本に内部は守られています。




貴重な書物の読み継がれた歴史が形となって現れていることに、静かに感動しました。
古い糸、紙、獣皮紙があわされば、これも工芸品とも呼びたくなります。


見過ごしていたことを親切に教えてくれた
製本家の友人に感謝しています。


フランスの古書 1566年刊






1/10(金)は平安蚤の市へ出店いたします。

出品する宮古島の土器です。
沖縄らしい茜色の肌に新春をみていました。
近世の作りであっても古代の匂いを残した琉球の土器が好きです。

この土器の特徴である波状文の下に、S字に走った彫り。
おそらく窯印ではなさそうですが、偶然にしては力強くて文様的。



勢いある線が清々しくて、定形の波状文に抗うような陶工のメッセージでもあったのかと深読みするほどに。


暖気のおかげで、1月にしては暖かい一日になるのではと思います。
出店場所は前回とほぼ同じ、参道沿いを神宮に向かって右側中央あたり(A-15)です。
是非お出掛けください。お待ちしております。


宮古式土器壺 28cm高 19cm径








ピグミー族のタパ。
樹皮繊維を叩いて貼り合わせて作られた裂です。

昨年の開催された展示、坂田さんの選んだ94枚も記憶に新しいタパ。腰巻きのようにも用いたそうですが、それ以外にも宗教や社会的機能も含めた、あらゆる生活の場面で使われたそうです。




そんなピグミーの人々は音楽も素晴らしく、ミニマムな五音音階は日本古来の童謡と重なったり、太古の記憶や胎内にいた時を呼び覚ますような懐かしい、ふしぎな感情へと誘われます。



タパの柄はいろいろですが、奇しくも今回の模様は五線譜のよう。
おそらく意図せずに濃淡の出た手描き具合も面白く、彼らの音楽の表れにも見えてきました。




そして、真の魅力は文様だけではありません。
手触り、肉厚な繊維のつらなりにもあると思います。
それはまるでパーチメントや獣皮紙のごとく、まだ生き生きと豊かな表情です。


ピグミー族のタパ
85cm×40cm







2020年は1/4(土)より営業いたします。
本年もよろしくお願い申し上げます。

故郷伊予でのお正月でした。暮れの静まる郷でみつけた白の古砥部。
初期の砥部磁器は絵付け師も不足しており無地も多かったようです。
有田ほど精緻な磁器ではないものの、厚手で温もりある膚合いは土物も思わせます。



砥部の白さは、瀬戸内の気候や讃岐うどんがしっくりと馴染み、僕にとっていつも懐かしいような気分にさせてくれる焼きものです。


砥部焼白磁筒形湯呑 江戸後期w7cm h7.4cm
売約済み








白南天がツリーの代わりでした。

花をいけた籠はフランスの葡萄を収穫する際の背負い籠。
曲げ木を用いて、樹皮を編み込んだもので、これが葡萄で一杯になれば相当な重量となるはずの大きさです。大変な重労働に違いありません。



摘果のために考えられた優れた造形。
補修跡もいっぱいありますが、まだまだ現役でいけそうな感じもします。



年内の営業日は本日まで。
新年は1/4(土)より開始いたします。



葡萄収穫用背負い籠 フランス1900年前後
高60cm 幅50cm
売約済みとなりました。ありがとうございます。









くりくりの眼が可愛くもほのかな哀愁漂う、原田治さんタッチの欧州菓子木型。




あのドーナツも恋しくなる、楽器を構えたミュージシャンズ。

向こうのスペキュロス菓子屋のカウンター奥には代々受け継がれているだろう菓子型が大切に飾られています。
聖ニコラオは置いておいて…全員音楽家というのもちょっと珍しいもの。



彼らのバンドは8人編成。
今宵は赤い鳥も顔負けの美しいコーラスワークを響かせる聖歌隊へ。
バンマスは勿論サンタクロース。


スペキュロス菓子型 ベルギー19世紀 43.5cm長 11.5cm横 2.2cm厚









もうすぐクリスマス。飾り文字の耐火皿にどんと肉料理なども楽しいでしょう。






丁寧に描かれた文字と波状文は、自然で好感がもてました。小振りの使い易いサイズ、上りや状態も良いです。



欧文スリップウェア角皿 英国19世紀 28cm×22cm×4.5cm








胡桃材の大きな木皿。田舎パンをどっさり乗せて温かいスープと。冬の食卓が浮かびます。

フランスで出合いましたが、パキスタン北部の工芸品とのこと。



たしかに削りや形造りもヨーロッパ諸国の木皿と異質で、広大で渇いた大陸的な気配。
かつて文明が栄えた地は地理的にも世界と繋がる中心部だったそうです。

盆に器に、家庭で色々と。およそ万能に働いてきた様子に石皿のような親しみを憶えます。


パキスタン木皿 1900年前後 37cm径
売約済み








犬山焼四方徳利と阿蘭陀赤絵楼閣図小皿

これから酒席も増える時期、宴で気負わず使って楽しみたい犬山の無地徳利です。




犬山といえば赤絵が有名ですが、無地のものは珍しくて初めて見たような気がします。




絵付けをしなかったのは、名産の忍冬酒のラベルなどを上から貼って出荷用とした瓶なのかもしれません。古新聞に包まれて、数本まとめて出てきました。






聖夜色の小皿はオランダより。
描かれなかった犬山赤絵の代わりのように、ソッと隣に。



高台に欠けあり


催事のお知らせで洋の単体での紹介がつづいていましたが、久しぶりの和洋の取り合わせ、やっぱり面白いなと思います。

共に年末年始に合いそうです。



犬山焼無地四方徳利 明治~大正 14.7cm高 容量 一合半
犬山印あり
阿蘭陀赤絵楼閣図小皿 オランダ19世紀12.2cm径









先週のa&b目白には沢山のご来場いただき誠にありがとうございました。

今回は小企画を設けて、その為に案内冊子を作成したり、企画に準じた内容で品数も少量でしたが反響をいただけて、嬉しくホッとしています。

寒い冬の日に、本当にありがとうございました。

明日からまた通常営業です。(木金休み)
年内は12/25(水)まで。
年始は1/4(土)より開店いたします。

写真は床か暖炉用の中世末頃と思しきレリーフタイル。
冊子に載せていましたが未紹介のものです。
初期の百合文。華麗清純のイメージですが、中心からのずれと暖かな色合いに親しみを感じます。



フランス百合紋章図タイル






“ものがたりの西洋工芸”

オランダの煙草匣なのですが、間と伸びのある蔓唐草は仏教と日本の香り。御正体をかさねたり。よくみれば凄く細かい。
小さな工芸品にも祈りが交わり神が寄り、それが工芸品だったのだとも思います。


線刻蔓唐草煙草匣 オランダ18世紀
w12.2cm





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