くりくりの眼が可愛くもほのかな哀愁漂う、原田治さんタッチの欧州菓子木型。




あのドーナツも恋しくなる、楽器を構えたミュージシャンズ。

向こうのスペキュロス菓子屋のカウンター奥には代々受け継がれているだろう菓子型が大切に飾られています。
聖ニコラオは置いておいて…全員音楽家というのもちょっと珍しいもの。



彼らのバンドは8人編成。
今宵は赤い鳥も顔負けの美しいコーラスワークを響かせる聖歌隊へ。
バンマスは勿論サンタクロース。


スペキュロス菓子型 ベルギー19世紀 43.5cm長 11.5cm横 2.2cm厚









もうすぐクリスマス。飾り文字の耐火皿にどんと肉料理なども楽しいでしょう。






丁寧に描かれた文字と波状文は、自然で好感がもてました。小振りの使い易いサイズ、上りや状態も良いです。



欧文スリップウェア角皿 英国19世紀 28cm×22cm×4.5cm








胡桃材の大きな木皿。田舎パンをどっさり乗せて温かいスープと。冬の食卓が浮かびます。

フランスで出合いましたが、パキスタン北部の工芸品とのこと。



たしかに削りや形造りもヨーロッパ諸国の木皿と異質で、広大で渇いた大陸的な気配。
かつて文明が栄えた地は地理的にも世界と繋がる中心部だったそうです。

盆に器に、家庭で色々と。およそ万能に働いてきた様子に石皿のような親しみを憶えます。


パキスタン木皿 1900年前後 37cm径
売約済み








犬山焼四方徳利と阿蘭陀赤絵楼閣図小皿

これから酒席も増える時期、宴で気負わず使って楽しみたい犬山の無地徳利です。




犬山といえば赤絵が有名ですが、無地のものは珍しくて初めて見たような気がします。




絵付けをしなかったのは、名産の忍冬酒のラベルなどを上から貼って出荷用とした瓶なのかもしれません。古新聞に包まれて、数本まとめて出てきました。






聖夜色の小皿はオランダより。
描かれなかった犬山赤絵の代わりのように、ソッと隣に。



高台に欠けあり


催事のお知らせで洋の単体での紹介がつづいていましたが、久しぶりの和洋の取り合わせ、やっぱり面白いなと思います。

共に年末年始に合いそうです。



犬山焼無地四方徳利 明治~大正 14.7cm高 容量 一合半
犬山印あり
阿蘭陀赤絵楼閣図小皿 オランダ19世紀12.2cm径









先週のa&b目白には沢山のご来場いただき誠にありがとうございました。

今回は小企画を設けて、その為に案内冊子を作成したり、企画に準じた内容で品数も少量でしたが反響をいただけて、嬉しくホッとしています。

寒い冬の日に、本当にありがとうございました。

明日からまた通常営業です。(木金休み)
年内は12/25(水)まで。
年始は1/4(土)より開店いたします。

写真は床か暖炉用の中世末頃と思しきレリーフタイル。
冊子に載せていましたが未紹介のものです。
初期の百合文。華麗清純のイメージですが、中心からのずれと暖かな色合いに親しみを感じます。



フランス百合紋章図タイル






“ものがたりの西洋工芸”

オランダの煙草匣なのですが、間と伸びのある蔓唐草は仏教と日本の香り。御正体をかさねたり。よくみれば凄く細かい。
小さな工芸品にも祈りが交わり神が寄り、それが工芸品だったのだとも思います。


線刻蔓唐草煙草匣 オランダ18世紀
w12.2cm






“ものがたりの西洋工芸”


普段は自信に溢れている人もがっくり落ち込むことはきっと誰にでも。
僕はセンスが無いかもしれない。

そんな悄然とした気分になったのは、同じ場所に居て同じ物を見ていたのに、そこから妻が美しいものを見つけ出した時。




この左手の油彩画は、フランスのとある骨董屋の壁に掛かっていたのを一度眺めて通り過ぎたもの。
後から入店してきた妻が、壁の前で立ち止まって綺麗だという。僕も再び絵の前へ。ああ、ホントだ、、なんて良い絵だろう。
頭のカチカチな僕は、貧相な経験と乏しい知識にすがって見過ごしていました。



左手で胡桃のような食べ物にふれる、生々しく量感あるしなやかな指。
時代の上がる油彩画は高嶺の花。せめて断片だけでもと良質な部分を受け継いで、額装した骨董商のセンスに頭が下がります。

しかし、まだ頭の中に存在しない、知らない、美しいものを探す(出会い)とは何と困難で幸福だろうと、同時に思う。僕らは絵描きや作家でもないけど、見つけ出すことは頭で物を創造することのよう。

今回の「ものがたりの西洋工芸」では、妻の選んできた物も多く出品します。デザイナーでもある妻は良き理解者でありライバル。
二人で店を営み、物を選んで並べていますが、、あなたが、オッと関心したものはさてどちらが選んだものでしょう。精進します。


左手油彩画断片 フランス 17-18世紀頃
20.5cm(額)



“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5








“ものがたりの西洋工芸”

この催事へ約束のように毎回連れていくようになった冬らしい菓子の木型。スペキュラースは聖ニコラオの日に食すクリスマス菓子なので、開催日はまさにその頃です。



菓子を贈られた子どもたち。
ミトンやどんぐりに草花の形、小さなクッキーをもらって歓喜して躍り上がったことでしょう。
古い菓子型にはサンタクロースの物語があり、飾りではなかった実用品ゆえの確かな味わいを秘めます。



年に一度の楽しみが込められた文化に根付く菓子道具。
この素朴なあかるさを伝えたくて、この先も、特に冬が来る頃には、紹介できればと願う西洋工芸品です。


スペキュロス菓子型 ベルギー又はオランダ19世紀頃
50.5cm長さ


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5







“ものがたりの西洋工芸”

通称パネクック(オランダの伝統的なパンケーキ)皿と呼ばれたりするデルフトの色絵大皿。

デルフト陶には巧妙な共色直しが時折隠されており、この大皿にもそんな予感がよぎりつつも、、結果はほぼ無傷で驚き、嬉しいものでした。
豊穣の松毬に、太湖石に竹や花。東洋のイメージをふんだんに描いた西欧独自の焼き物。



しかし、この苔色はどこか石庭や抹茶のような色合い。日本人なのに阿蘭陀のうつわを見て懐かしくさせられる、こちらの心にせまる、落ちつく色を出しています。


デルフト色絵大皿 35.5cm 1690-1740年頃


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5







“ものがたりの西洋工芸”

ボジョレーの解禁日。奇しくも宇宙と作物の関係性の農事暦によれば、ちょうど今夜は美味しいワインの実が開く日。このボトルをデカンタに、一杯愉しみたいところ。


シノワズリの影響と思しき、菊花と格子の文様。意図せずに垂れてしまった釉や、縁の剥がれも良く解釈してしまえば古染などを彷彿とさせます。コバルトと比較すると、数も少ない色絵の面取徳利。容量も一合半の程よさ。

この多葉形の淡い色絵のモデルはデルフト、フランスでは北西部ルーアン、北はリールでも作られた文様と聞きます。

定かな産地はひとまず置いておいて、失敗作とも言えそうな、今にもめくれそうな釉薬とくすんだ赤の色は、どうにも心に残りました。そしてクリスマスの色でもあります、お正月まで楽しめそうです。


阿蘭陀色絵八角徳利 18世紀頃
h18cm 300ml








“ものがたりの西洋工芸”


千花模様の中からひょこっと顔をのぞかせるライオン。もはや狩りのことも忘れてしまったかのような優しげな表情で。

羊毛と絹で織られた、フランドル地方或いはフランス中部地方のオービュッソン産と思われるタピスリーです。
かつては数メートルある織物だったはずですが、繋ぎ合わせたり修繕されながら、断片として残されたもの。断片とはいえ幅は70cmほど、壁に飾っても十分な見応えの作品です。

植物形態に基づいて、中世の頃から派生するタピスリーにおける千花模様のデザイン。そんな植物と動物を中心に描いたタピスリーは、いつか紹介できればと願っていました。部分ですが、不自然さは無く良い絵図です。

緑の中でうっとりしたようなライオン。遠くの美しいものを眺めているでしょうか。


獅子図タピスリー断片 17世紀 フランドル地方
w67.5cm h51cm







“ものがたりの西洋工芸”

色鮮やかな草花装飾に、厚めに樹脂で張られた金箔。文字と装飾の特徴よりルーアン産の時祷書と考えられています。



特殊な祈りの手書き写本、中世のベストセラーであった時祷書。裕福な家では嫁入り道具にも持たせたと聞きます。

その深い青色はアフガニスタンでのみ取れたとされる、ラピスラズリを原料とした、まさに祈りの本にふさわしい静かな青い色。



時祷書の装飾はあらゆるものがありますが、特にこの唐草からは日本の仏教美術にも共通した、祈りの静けさを感じました。


時祷書 フランス(ルーアン)1470年頃
8.1cm × 10cm








本日よりコンテナ船で届いた品物を、店に並べています。器や道具は箱を開けつつ随時、家具は補修を終えたものから出します。
11月は通常どおり木金休みの営業、明日もまたご来店お待ちしております。






こちらは王冠の形をした鉄製吊り下げ器。
鶏や兎にソーセージ、調理具なども引っかけたヨーロッパの台所道具です。
17-18世紀オランダ風俗画にも描かれており、古くから家事の傍らで親しまれた民具のようです。


「台所にて」 ウィレム・ヨーセフ・ラキー 1760-1761年


夜に浮かぶ姿は天球儀。
かつては蝋燭の灯りのもと、落とした影を見つめては何かを思い描いたりしたでしょうか。


鉄製吊り下げ具 フランス18-19世紀









“ものがたりの西洋工芸”

渡欧するたびに一つは見つけられたら、と思う風見。
風向計という道具といえばそうなのですが、実質は「観られるもの」の印象。建造物のシンボルとして、永い時間を多くの人が眺め続けてきたものです。風を目で知るとは豊かなこと。

厄除けの意味が込められたり、実際に役に立っていそうで、そこまででもない装飾的な風見の存在は、工芸と芸術の狭間にあるようなものの気もします。

性能や効率とは離れて昔は、こんな曖昧なものが沢山あったでしょう。だから欧州の古い工芸品の中でも、風見は僕にとって異質で惹かれる存在。好きなのは理由があります。

写真は修道院の屋根の上に付けられていた鉄の風見。錆びて欠けていても、末広十字にくり抜かれた形は今も綺麗に残っています。



鉄製十字風見 フランス19世紀
100cm長 29cm幅

“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5







西洋ものの紹介が続きましたが、日本の焼き物にて来週の出店をお知らせします。

11月13日(水)に京都岡崎公園内で開催される「平安蚤の市」へ出店いたします。京都ふるどうぐ市以来、三年ぶりという久々となる関西方面への出店です。

12月のab目白は西洋骨董限定の催事なので、京都には東西を交えながら常設のいつもの雰囲気を伝えられるようなセレクトにしたいと考えています。
ちょうど前日12日にはフランスからコンテナが届く予定なので、新入荷も少量ですが持参できそうです。

京都への出品より御深井釉の長皿。無地御深井の日常使いに向く器は、常設したい好きなものでこうして五客揃うのは嬉しいことです。四客は無傷、散売りいたします。秋の食卓に、魚皿にもお勧めです。

憶い出してみると、野外で最後に出店したのは8年前。予報では快晴となる秋の京都、皆さまのお越しをお待ちしております。



御深井釉隅入長皿 江戸後期頃









“ものがたりの西洋工芸”

絹糸と金銀糸をたっぷりと縫いつめた紋章裂。本のカバーの中心部、もしくは所持品などに縫い付けられていたと思しきイギリス刺繍の断片です。

聖書や詩篇本などのヴェルヴェット地のカバーを刺繍で埋め尽くすがごとくは、それは豪華絢爛な装飾美術。きらびやかでまぶしく、一冊の刺繍本となると大変貴重なものですが、これは小さなかけら、その一部分です。

額装は、古布とフランスの石膏金彩額縁を用いて妻が仕上げました。
絹糸刺繍のなめやかな触感は、見ているとつい撫でたくなるもの、あえてガラスは嵌め込みませんでした。

色あせた藍と紫の絹糸には、豪華のなかに素朴さもあって、貴族風でもどこか身近な感じです。
でもやはり、ひそかな贅沢と気高さが奪われていないのは、裂であれど紋章の持つイメージと素材の力づよさなのかもしれません。



紋章刺繍裂 イギリス17世紀-18世紀 8.2cm 4.8cm
金彩額 25cm 20.5cm

“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5







“ものがたりの西洋工芸”

文様としての番い鳥と心臓。
ハートを囲む丸い輪のうえで向かい合う鳥。聖心信仰から派生していくハートの形態と意味合いは、この時代にはもう現代的な様相を帯びている気もしないでもありません。

これはフランドル地方の修道院の長椅子やアームチェア,コファなどに嵌め込まれた木彫パネル。彫り込み模様は、クッキーを作るスペキュラス型とも近くオランダやベルギー寄りの雰囲気が微かに見て取れます。
威厳あるゴシックを過ぎてきて、のほほんとした民藝的な木彫パネル。平和と愛を象徴する文様、教会にて幾多の人生を見送ってきたでしょうか。




木彫パネルといえば、幾何文でぼそぼそ木目の渋いのは好みなのですが、今回のテーマに合ったのはこんな微笑ましい日常の愛と文化がハッキリと浮かぶものではないかなと、選んでみました。



番い鳥と心臓図木彫パネル フランドル地方 17世紀 40.5cm×35cm


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5







“ものがたりの西洋工芸”

去年の秋、パリの中世美術館をのぞいてみた時のこと。ちょうど一角獣にまつわる展覧会が開催中でした。
館内は大がかりな改装中で規模を縮小した企画だったものの、中世美術から現代絵画に映像作品、一角獣のツノ(ホンモノではなく別の獣)…、そしてジャンコクトーのユニコーンのコスチュームまでと幅広い一角獣を集めた面白い内容でした。

ユニコーンを巡っては、解毒や貞潔をあたえるもの、他の伝説上の怪物や悪魔と異なる位置にいたり、その神秘へ救いや安息を求めると同時、一角獣はキリストに見立てられ、神殺しされ、人間のおろかさを伝えていく幻獣とも言えそうです。
シシ神と同じように。



一角獣図のデルフトタイル。
コーナー・パターンは卍崩しの古手のタイルです。
駆けていき、いま川を飛び越えるところ。

この絵を見て思い出したのは、ニューヨークのクロイスターズ美術館蔵のタピスリー“一角獣狩り”にある、狩人から逃れて一角獣が川を渡ろうとする場面。脚の曲げ方、顔の向き、ちょっと似ているのです。
野を駆ける動物たちはタイルの定番柄であり、きっと関連はないのですが、妄想するのも古いものの楽しみのひとつです。

寓話の幻獣ではなく、かつて本当は共生していたのでは?と思わせるほど生々しく親密さをこの絵から感じています。



一角獣図デルフトタイル 17世紀前半-中頃
13.5cm(修復なし)


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5






“ものがたりの西洋工芸”

フィレンツェを訪ねた際に、ルネサンス期の彫刻や織物、宗教美術を揃えた骨董店が軒を連ねているのは圧倒されました。もちろん手が出る価格でもなく、フェイクも怖いしおそるおそる退散した次第です。仕入れはほぼ出来ませんでしたが、ただ街を歩くだけでも、床や外壁にも彫刻や美術が隠されていて、思わずため息。見惚れるだけで帰ってきました。

こちらはルネサンスも末期、フィレンツェ或いはヴェネツィアの工房で作られた骨製の“悲しみの聖母”です。

イタリアでは古い婚礼用の匣や宝石匣に、こうした骨製の細工物を嵌め込んだ美術品があります。この聖母も腰と足元に穴があり、匣のかざりの一種と思われます。

およそ9cmのレリーフの中に刻まれた聖母の顔立ちと濃密な時代性には、サイズ以上の大きさを感じてしまいました。
山羊の脚部の骨を用いて、よく磨かれ巧みに削りだしたイタリアの工芸品。小さな骨片に物語をみます。


骨製聖母像 フィレンツェ或いはヴェネツィア 16世紀-17世紀 8.8cm(本体)21.5cm(台)


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5








“ものがたりの西洋工芸”

刺繍やタピスリーに織りこまれた神話や宗教、複層なる物語。奇異で人智を越えたロマネスクの柱頭彫刻は、それ以前の柱頭の歴史に無かった“物語”を彫り込み表していきました。

思えば、そんな西洋の“物語性”には、子どもの頃から長らく惹かれてきたような気がします。
カケラだったり、小さなもの、品数も多くはありませんが西洋の中世から近世にかけて、物語に満ちた工芸品をあつめてみました。
偏った個人的な想い入れの品々ですが、受けとる側それぞれの、“ものがたり”を夢想できる空隙があればと願っています。

来たる12/7,8ギャラリーFUUROにて開催されるA&B目白に於いて、そんな内容の企画展で臨みたいと思います。



早速、“ものがたりの西洋工芸”から一番最初に紹介するのは中世の石彫刻。

ノルマンディー地域圏、古都ルーアンの聖堂石彫刻の一部分です。ノルマンディー・ロマネスクからゴシック建築の代表作まで歴史ある街ですが、戦災により消失した修道院建築も限りなくあるでしょう。

この中世遺物が辿ってきた道程は知り得ませんが、その過去の歴史も覚えておかねばなりません。



右手部分の石彫。
黄土色の彩色を仄かに遺し、おそらく石灰岩から彫り出しています。成人女性の手ほどの大きさがあり、昔日の姿は台座を含めれば2m近くあったのではと推測できます。

円柱像かタンパン彫刻の残欠であり、預言者がアトリビュート(持物)の巻物を握っているのではないでしょうか。

手の甲や持物には細かな削り模様が施され、後期ロマネスク様式でゴシックへと移る頃のものと思うのですが、薄らいでも黄土に残る彩色はフランス中部の寒村コンクのロマネスクを思い起こしました。往時の色彩を残している中世彫刻は、フランスにも殆どありません。

中世の石彫が色を残した飾りやすい大きさで入手できたことはとても嬉しかったですが、特に手の部分というのは幸福でした。

称賛の念はキリストの右手に宿るとも云われます。
中世石彫に満ちる物語は尽きません。


石彫右手残欠 13世紀 フランス
17.5cm 14.5cm 6.8cm


“ものがたりの西洋工芸”

於 gallery FUURO
antique & brocante 目白

2019年
12月7日(土) 12:00-19:00
12月8日(日) 10:00-17:00
東京都豊島区目白3-13-5






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