聖書を納めた匣

オランダの教会で聖書を納めるために用いられた長方木製箱。蓋を開くと区切りもなく、がらんどうのようにぽっかりとした空間。






分厚い木目は浮き立ち、錠前と金具には深い鉄味が付着し、その中には大判のネウマ譜面がぴったり納められたようです。



花入を置いたり道具箱にするのも気が引けてしまう、宗教的で厳かな、しぃんとした冷たい空気を今も匣の中に遺している気がします。


聖書収納長方箱 オランダ17世紀
w52cm d34cm h14cm









御深井盃

軟らかな輪形(りんなり)に鉄絵が一つ。
“文様”と呼ぶには儚くたよりない。
使う人それぞれへ託した、優しい余白を感じます。
花入と茶器にて





御深井鉄絵輪形盃 8.5cm径 4cm高
御深井鉄絵輪花盃 8.6cm径 5cm高
江戸前期-中期







くらわんか井桁文平盃とオニオンボトル徳利

文様は遠慮がちで小さめ。その薄く鈍い発色にも心惹かれた井桁文くらわんかです。




抽象化した記号は、ヨーロッパ民陶の教会などに見られる十字文様陶器とも重なりました。10cm程の小碗に満たない平盃サイズです。



スタンプ痕を残したオニオンボトルは徳利に程よい容量200ml強。ワイン用途の小型ボトルですが、出会う機会の滅多にないもの。小ぶりさゆえに透過光でも黒ガラスに近いほどの深い緑です。

型ガラスではなく、手吹き成形。
この手の小振りな独酌サイズは量産に入り、型のタイプが多く見られます。
ガラスの厚みと色からも少し時代の古さを感じさせます。





どちらも状態は良好。

目白コレクションに出品いたします。


くらわんか井桁文様平盃 10.2cm径
オニオンボトル徳利 オランダ又はフランス19世紀 14cm高









錫釉陶器のインク壺

基本的にインク壺には絵付けが大半で、白釉無地はきわめて異例ではないかと思います。加えて把手付きというのも、また特殊でした。




その肌合いは小さな白デルフトタイルを四方で組んで函型にしたような、把手と縁飾りで遊んだ愛らしい注文品です。

僕は無類の錫釉陶インク壺好き。
ついつい集めてしまいます。
和洋問わず陶製文房具、絵具皿に水滴の類いなど。手のひらに乗せれば、小さな宇宙が拡がるような感覚です。



これまでの目白コレクションにも錫釉インク壺は幾つも持っていき、ご縁をいただいてきました。
ファンが増えれば嬉しい限り。

またヨーロッパでインク壺探しができます笑

この白釉インク壺はどうでしょう。
花は勿論、ルイボスティーも呑めるかな。

目白コレクションにてご覧ください。



白釉把手付インク壺 英国デルフト又は南仏ファイアンス18世紀
English delft or French faience inkwell 18th.c








レーマー杯の残欠
17世紀ドイツ又はオランダのワイングラス、レーマー杯の脚部残欠です。
元来は上部に球状のボウル、下には螺旋状にくるくると広がる台座がありますが、どちらも失われています。
そんな状態なのですが、妙にバランスのよい筒状の姿に惹かれました。

おそらく以前の所有者により、銀化と汚れが丁寧に取り除かれており、本来の森林ガラスのはかなげな緑色がありのまま現れています。
水は漏れず、花入にも。
冬の陽に透かすだけでも。

目白コレクションに出品します。



レーマー杯残欠 17世紀
Dutch or German roemer glass stem early 17th.c








目白コレクション開催まで、あと1週間とすこし。出品する品物に関して、色々とお問い合わせありがとうございます。
価格や詳細、その他の質問なども気兼ねなくご連絡ください。



こちらも目白への出品より。
素早く引かれた生きている線。
迷っている時間などちっとも無かった。


伊万里染付網文盃 江戸 w6.8 h3.3cm








“花入と茶器”には、菓子皿や銘々皿ほどの小ぶりなお皿を和洋から出品予定です。

このデルフト皿は、径19cmで銘々皿としては大きめなのですが、デルフトでは少ない珍しいサイズ感です。高台造りと細やかな絵付け、そして窯印から17世紀末から18世紀前半頃と考えています。



好きな絵柄で17世紀に入るデルフトを探してみると、限られてしまい出会うにはなかなか苦労します。
この草花の幾何文様ならば東洋の器とも響き合い、長く付き合っていけるのではと思います。



日本好みの絵柄で絶妙なサイズに加えて良好なコンディション。これまでに扱ってきた中では、指折りの藍絵デルフト皿です。
目白コレクションにてご覧ください。


デルフト藍絵草文皿 17世紀末-18世紀前半 19.1cm径
Dutch delft blue and white plate








乳白ガラスに淡い草花文を描いた18世紀ドイツの角小瓶。
リキュール、ブランデーの容器ですが、以前扱った際には瓶底に香水が沈んでおり、それは香油瓶として代用されたようでした。




この種類のエナメル彩色瓶は、透明ガラスや色ガラスなど、色味も絵付けの柄も多様で本数を並べてみたりコレクションをしたくなる理由がわかります。




こっくりとした甘く不透明な乳白の硝子には、厚みと重量があり、白い陶磁器のように見てしまうことがあります。


ゆるやかな絵付け、いささか武骨な乳白硝子は、とりわけエナメル彩瓶のなかでも好きなものです。
目白コレクション“花入と茶器”にて。


エナメル彩乳白硝子瓶 ドイツ18世紀 11.5cm高
enameled glass flask 18th.c German or Bohemian








昨日のヨーロッパ藍の唐草文に対して、日本から赤い唐草文です。
蝶のまわりを糸のように、細い蔓草と花が囲みます。

質素な日用器のはげかけた赤絵は、きれいな染付よりも断然身近で、はかなくも郷愁をおぼえます。“花入と茶器”にて。


古伊万里赤絵豆皿 6.7cm径
Imari small plate 18th.c






デルフトの双耳鉢

器全面に緻密な唐草を。デルフト特有のしっとりと艶ある肌がよく出ています。

かつてはオートミールを主に食した器。出品する小鉢は、ちいさめの碗にも近く、そんな小振りなものはブランデーや酒を飲む際にも代用したそうです。



琥珀色のルイボスティーも、藍の唐草に馴染むことでしょう。花を浮かべても。
わずかにニュウがありますが良好な状態です。
目白コレクションに出品します。


デルフト藍絵粥鉢 18世紀 13.5cm(持ち手含まず)18.5cm(含む)6.7cm高
Delft porringer bowl 18th.c








無地志野皿二種

秋の目白コレクションは花入と茶器がテーマ。
茶菓子をのせる銘々皿や小皿もお持ちします。



直径15cm弱という、時折みられる小皿よりも若干大きい無地志野皿。




無地志野皿,菊皿 17世紀初
Shino plate early 17th.C


菊皿は縁に二ヶ所程カケがあります。
お茶の時間に楽しみたい器です。

目白コレクションに出品いたします。








白釉花瓶と白釉薬壺

文字入りの薬壺。イタリアにて入手した、蓋の失われたマジョリカ焼の筒型小壺です。




O.S.Mが意味するのは、(Ospedale.San.Marino)。おそらくはサンマリノ地域で使用されたとのことでした。内部には施釉もしてあります。




隣はフランスの無地白釉瓶。
フランスには、白釉の扁壺形で藍絵の文字と飾りの入ったタイプがありますが、その同種であり、数少ない変わり種ではないかと思いました。肌艶が良く片手に納まります。




目白コレクションでご覧ください。
花瓶は「花入と茶器」、薬壺は「ルイボスティーの器」にて。

出品の詳細は気兼ねなくお問い合わせください。



マジョリカ薬壺 イタリア17世紀末-18世紀前半 6.4cm高 5cm径
白釉花瓶 フランス18世紀 15.5cm高








エチオピアの木製杯

エチオピアには、伝統的なコーヒー・セレモニーと呼ばれる習慣があります。
この筒状のカップは、その際に炒った豆をすぶした小型の臼(うす)、或いは菓子入れなどに用いた道具。




茶道と通ずる、精神的な儀式のようで、刻まれた十字と記号は謎ですが意味深に思えます。親から子へ受け継がれるコーヒーの為の茶器。


目白コレクションへ出品いたします。
今回のテーマは「花入と茶器」。この杯は、どちらにも当てはまりそうです。そう、これでルイボスティーも飲めますね。


珈琲用木製杯 エチオピア
Wooden cup for Ethiopian coffee ceremony








デルフト八角花瓶の蓋

家具や暖炉の上を飾った花瓶の蓋部分。
こうして動物を蓋の頂点に置いたものは、憧れからか長く流行したようです。
絵柄の文様も東洋を匂わせます。



近くでみると、口元が緩んでいて微笑んでいる気もします。
手足みじかめ、尻尾くるりの獅子と思いますが、まるで仔犬のようです。
後ろ姿が特に愛らしい。



ペーパーウェイトやお茶用の蓋置などにも。
蓋を蓋置にするなんてチョット可笑しいですけど。
自分なら特に何も使わず、ただただ机に置いて、時々触れたり、眺めたりしたいものです。


デルフト八角瓶獅子蓋 18世紀 H9cm









もうそろそろワインの美味しい季節。
ワイン一本分750mlが丁度納まるフランスの硝子製デカンタ。
底は厚く安定もしながら、古い高鉛の薄造りが金属的で程よい緊張感もあります。

隣に置いたのは白釉の鳥餌入れ。
コレ、つい一週間前までほんとうに鳥かごの中に入っていたんですよ。
何にしようか、見立ての想像ふくらむ可愛いもの。


硝子デカンタ フランス19世紀



白釉鳥餌容器 フランス18末-19世紀頃









無事に帰国して昨日から梱包をほどいています。破損もゼロ、安心しました。
修繕や手入れの必要なものを仕分け選別、先に店頭に出せるものは明日の朝から並べています。
写真の像はその内から一つを紹介です。




フランス南部、田舎の彫刻作品。
木彫りの聖母子像です。

伝統的な宗教彫刻とは異なる、心の和む穏やかさ。18世紀末~19世紀頃の作品ですが、はるかに古いロマネスクの気配や、遠いアフリカの原始的な木製品と重ねてしまいます。



東洋や日本でいうところの、名もない職人や素人による民衆仏や民藝品の彫像と近いもの。



フランスやスペインを中心に、南欧の優しい田舎の民芸調な彫像は、時にとても出来の良い、美しいものと出会うことがあります。集めて、小さな企画でもしたら、楽しくなりそうです。


木彫聖母子像 フランス18世紀末-19世紀 31cm 高
売約済み






パリの朝

雨続きの晴れ間。

フランス買付も終わりに向かってあと三日間。
雨ばかりで移動や大きなものの積み込みに苦労しましたが、中世の家具や古く美しい民具、初めて買う大道具との出会いにも恵まれました。

時には自分たちの身体以上の大きなものに惹かれることも多く、妻と二人で運ぼうとすると、ディーラーたちは驚きます。雨にずぶ濡れ、体もがたがた。これはほんとに体力仕事です。

なにも写真が撮れてなく、すみませんがまた日本に届いた頃にゆっくり紹介していきます。

帰国後の営業は10/5(土)より。いつものように持ち帰れる品物から並べて、お待ちしています。







渡欧する間際になると、そわそわしていつも日本のものが恋しくなる。

小木の念持仏。
小さいながら、彫りが厳しく衣の線が立ち、脚先まで丁寧な造り。よい表情をしている。

静かな祈りは、ヨーロッパの宗教美術や生活の中で使い込まれた民具にも、通じあうものと出会うことが時折ある。

根底に流れる、共通した心があればと、色んなところへ出掛けます。



木彫民間仏立像 13.5cm
売約済み








「彩画嗅ぎ煙草箱」

フランスの田舎道、秋の小径を描いた小箱。

紙パルプ製の素地(パピエマシェ)に、オイルを塗って漆黒に焼き固めて、その上から細密画を描いた、嗅ぎたばこ入れ。




パピエマシェが19世紀に一般的に普及する以前。このような細密画を施した小箱は、18世紀当時には、この寸法でも数十万はしたと云われ、とても高級な工芸品だったようです。

蓋をあけると、まだ粉状のたばこの香りが、ほんのりと漂います。

木がそよぎ、道ゆく人たちに、とび散らう落ち葉がかかるような。

ヴェルレーヌの「秋の歌」を彷彿とさせる、うら悲しくも美しき秋の景色。

今週からパリ入りなので、季節もかさなり向こうへの想いが募ります。


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秋の日の
ヴィオロンの ためいきの
ひたぶるに
身にしみて
うら悲し

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや

げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな

Paul Verlaine / Chanson d'automne
訳 上田敏


彩画嗅ぎ煙草箱 フランス18世紀 9.2cm径 5cm高
papier-mâché snuff box








一昨日は長野市の「夏至」へ。

談話会の話し手として、お招きをいただきました。

不慣れなものでどうなることやらでしたが… 夏至宮田さんを司会に、鎌田さんとの対話、お客さまも交えての和やかで愉しい秋の夜となりました。ありがとうございました。

“鎌田奈穂 うまのほね”展示会
9/23までギャラリー夏至にて開催中です。
ぜひお運びください。



丹波、志野、初期伊万里、御深井、江戸ガラス
互いの酒器を持ち寄って、
まずは白ワインからスタート…






それで、どうしてまたブリキバケツの写真かというと、同種の楕円形バケツが夏至の入り口に置かれていたのを見たからです。

おそらく傘立てとしてさりげなく。
ブリキの質感と鈍い輝きが、エントランスの黒い鉄扉や、白の壁面とよく調和していました。

用途は生活用水を汲んだ、フランスのブリキ製バケツ。

18世紀末にピューター製品の代替品として台頭したブリキは一般的に広く普及したそうです。
重たい銅板に錫メッキ。もれずよく注げ頑丈な現役です。
心なく心ある男、ブリキの木こりを思い出す、軟らかな色と形。


フランスの郷土資料より、1900年代前半頃の民家。


ブリキ製バケツ フランス 1900年前後
38.5cm幅 30.5cm高 (持ち手含まず)
売約済み





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