髪をとく櫛と同形のこちらは、西欧産の馬用で、鍛冶屋が仕上げた鉄鋼の硬く、ずっしりとした櫛です。
馬たちの尻尾やたてがみの毛を梳いて、汚れを取り除き、血行をよくしたり艶をだして整えたものと聞きます。
飾りや色もなく地味なのですが、磨耗した鉄肌と経年の微妙な線のゆらぎは、柔らかく親しみを覚えます。


鉄製馬用櫛 19世紀フランス 10.5cm横 6.8cm縦
獅子図デルフトタイル 17世紀
共に売約済み









フランスの木製砥石入れ

花器への見立てにも用いられる素朴な木の道具です。かつては腰にさげて、実際に刃物を研ぐのに使われてきました。




好きでこれまでも扱ってきた砥石入れですが、今回はその当時の様子が伝わる、使い込まれてすべすべになった砥石と一緒に見つけることができました。



おそらくハンドルは入れ物と同素材のオリジナルで、砥石は交換したのか釘と針金で強く固定されています。
本体は薄い金属板を貼り付けた修復で、虫喰いや艶の出た木との重なりは味わいとなっています。

観て飾り、見立ても楽しみたいですが、この砥石付きで残った砥石入れは、暮らしの有り様が浮かぶような状態であり、ひとつの歴史資料としての庶民の道具、工芸品の見方もできる興味深いものと思えます。


面取砥石入れと砥石 フランス18-19世紀
39cm長
売約済み








昔の鎹なおしで修繕された白釉皿。

鎹の間隔や幅も自由でラフに打ち込まれ、一箇所は失敗して表側まで到達してしまいながら… 自然とおさまり受け入れているのは、ここの焼物の国柄と思えてきます。そして、この直しであれど堅牢に、今も留まっている状態です。



なぜか通常の白釉系統の皿よりひと回り小さい、連続模様の美しい皿です。


藍絵草花文皿 フランス18世紀
19.5cm径 2.7cm高








昨日の猫の日に合わせて、店頭に並べた猫型水滴。
猫の日が来るのをじっと待ち構えていて、長らく我が家で一緒に過ごしました。



仕草も顔つきもまさしく猫で、凛々しい太眉には愛嬌ありです。
香箱座り風ですが、正式には手を出しているので、横座りでしょうか。

平安時代の絵巻には既に首輪を付けた猫が描かれているそうですが、この子も大きな鈴付きの首輪をしています。
縁側の陽だまりで、いつまでも庭を見つめていそうな、日本の猫という感じがします。



水もきれいに注ぎ出て、水滴としてもまだまだ働けます。



陶製猫水滴 益子焼あたり 大正明治頃 6cm幅 5.1cm高








水ぬるみ、春の雨が降り出して、雨水は内側まで入り込んでいた

雨降り文風の安南染付茶碗。
見込みにも雨雫が落ちて、水たまりが出来ているようです。



見立ての茶碗として、長く使い込まれた様子で、よい艶が生じています。



2月終わりから3月初旬にかけて降る雨を、まわりの音から離れてみて、ただ聞いているのは子どもの頃からの癖のようで、心の落ち着く時間です。


安南染付雨降り文茶碗 14cm径 5.8cm高 傷なし
売約済み








かすれた見込みからは、頻度が高く日々使い込まれたことが知れるものの、欠けやニュウは無く、大切にされていた食器と想像しました。



明治頃の珉平焼か、もしくは京焼の類いかもしれません。

正午すぎは三月中旬並みの陽気。あかるい黄の花でも取り合わせてみたくなる日でした。


黄釉輪花豆皿 8.5cm径
売約済み








江戸後期頃の白磁輪花皿。
縁には修繕の白い跡が残ります。

薄手で品の良い造り。
日常使いには少し緊張する薄さですが、傷があると思うと少し気が楽になるでしょうか。
揃えて並べても美しい白磁皿だと思います。



白磁輪花皿 江戸後期 有田周辺 13.5cm径
売約済み








探していた寸法で、簡素ながら仕事も丁寧な古棚と出会え、今朝は什器の入れ替えを行いました。

木材は高級ではないものの、すべての線の面を取り、釘を使わず組み立てられています。

聞くところによると、前所有者の研究物を納めた書架だったそうです。
研究者への依頼に真剣に応えた、素朴で美しい棚にシェーカー家具の精神性と響き合うものをみた気がします。
職人の仕事に、誠実さとセンスを感じました。


すっきりとして、物も心地好さそうに居る気がしてきます。



無地刷毛目鉢、刷毛目鉢、陶胎染付猪口、御深井釉七寸襞皿









把手にケガをしていたようで、その修復をした古い共直しが壊れかけていたフランスの色絵注器。

淡い花の色絵がとても美しかったので、日本で再度、直しを施すつもりで購入して共直しを剥がしてみると、下から土台の針金が出てきました。



ヨーロッパの古陶磁には、独特な鎹なおしや、針金でぐるぐるに修復をしたものを見ることが時折あります。

この針金も内側までがっちり捻じ込まれており、取り除くことも困難です。
切ってしまうのは簡単ですが、異国の一つの古い直し方として観るのもいいかもしれないと思えてきて、今はそのままにしています。


色絵草花文ピシェ フランス18世紀
売約済み









フランス北西部、カンペール焼と思われるエッグカップ。
スポンジウェアで文様を施し、鶏はエナメル彩で描かれています。

19世紀に入り、一種の量産技法として生みだされたスポンジウェアも、その独特の淡い絵柄がもたらす景色が人気を博してコレクターも英国には多くいるようです。
スポンジウェアの良品が多く見つかる英国は、思えばフランス北西部のカンペールから、産地として距離が近いことに気が付きました。

技術や作風にも互いに往き来があったのかもしれない、と想像しました。




この卵を置くための白釉陶器は、同種が幕末頃に舶載され、当時は茶道具の蓋置にも利用されたそうです。その時の、そんな柔軟な見立てはやはり面白いなと思います。

これはエッグカップとして向こうで長く使われてきたものですが、今後の使い途を考えるのも楽しそうです。




漏れは無いですがニュウが3本と、高台に欠けがあります。



色絵卵置 フランス19世紀 H6.5cm










18世紀初頭にオランダからフランスへ陶工が移り住み、ストラスブールやルーアン、マルセイユなど…
各地でファイアンスの中心的な工房が生まれたと同時に、地方でも小規模な陶器工場は沢山誕生したと思います。




この昆虫と花の絵付け皿も、フランスでは多く制作された一つの人気モチーフだったみたいです。

この絵からは、都会的な洗練さとは離れた、地方の窯のゆったりとした時間を感じさせます。

縁はホロホロと欠けて、土も見えてますが、でもまあそれもいいかなと、思えてしまう緩やかな絵と馴染んでいる姿を見ています。


色絵花昆虫文皿 フランス18世紀 22,5cm径 4cm高
売約済み









ここ醸造会館と同時代頃に制作されたフロアランプです。

轆轤で挽いた木製支柱と鉄製の灯具受けに、シェードはこの時代に量産された手吹きの乳白ガラスで、三種の素材が組み合わせられています。



大正から昭和初期の擬洋風建築の洋間が、思い浮かんできます。

西洋へ憧れた優美な曲線のなかに、日本的な意匠がしっかりと宿っているランプです。

醸造会館に備え付けの天井灯とも呼応して、しっとりと夕暮れに灯ります。


フロアランプ 昭和初期 58cm高








浅い帽子のような形のピューター深鉢。リムに刻まれた無数の装飾線が、280年ほど経過して薄らいで和らぎつつも、利いています。



かつての貴族的なピューターの雰囲気を姿に仄かに残しながら、量産の時代にも入りすこし気楽さも交じり、疲れず傍に置いておけそうな鉢です。



ピューター深鉢 1742年 西欧 21.5cm 4cm











今朝は取材を受けました。
花を飾り、店内の整頓も早くから出来て気持ちのよい休日。

西洋のガラス類を中心に撮影していただき、誌面を見る日が楽しみです。



会寧壺 18世紀末~19世紀初
15cm高さ








日本と西欧の花文様タイル

瀬戸の寺院に今も見られる唐草文様の敷瓦と、ヨーロッパの教会の床などに敷き詰められたタイル。
荷重に耐えられるよう、共に分厚く頑丈な造りをしています。
東西は違えど、どちらも祈りの場所で訪れた人たちを出迎えた建築装飾の一部。

厳かな気配がまだ漂うように思えて、ふと何気なく手に取り求めている気がします。


黄瀬戸釉印花文敷瓦 江戸末期 24.5cm
床タイル フランドル地方 17c 14.5cm 売約済み










須恵器高坏とライン炻器


垂直な脚部をもつ須恵高坏です。
線刻はありますが特に叩き目などの装飾も無く、修復痕跡も残るものですが、厳しい器形に惹きつけられました。

塔のように凛と立つ姿と肌合いに、
今日の雪降る冬の空気と通じるものを感じました。


須恵器高坏 古墳時代 H14.5cm 売約済み
ライン炻器ジャグ 14-15世紀 H24cm








フランスのサヴォア地方に伝わる、“Jaspa”と呼ばれる一種のスリップ技法で模様を描いたティーポットと思われます。



ほぼ未使用の状態、この類いの軟陶が無傷で、蓋も残っているのは稀なことです。





紅茶用や急須として、東洋の器と合わせても落ち着くような色模様と形です。



ティーポット サヴォア地方またはアルザス 19世紀後半頃
H15.5cm 容量400ml

売約済み










織部皿

淡く薄い釉の色味に、近づく春と草花を連想しました、団子や節分の豆が似合いそうです。

見込みには長石釉を掛けて、縁に上から銅緑釉で仕上げています。
窯道具を使わずに重ね焼きをしたものだと思いますが、熔着痕は少なく綺麗な見込みに上がっています。





通常の小皿類よりすこし大きく若干深みもあり、取り皿などにも使えそうです。


織部花文皿 桃山~江戸初期
14cm径 3.3cm高さ

売約済み








出雲地方のぼてぼて茶碗。
蓬色の穏やかな色味。








一足お先に春の気分。
熱い珈琲、紅茶も抹茶も。
好きな色と形の茶碗です。
古手の味のよいものと出会えました。


ぼてぼて茶碗 江戸期
10.2cm径 7.7cm高

売約済み









フランスの壁掛け道具棚。
調理器具やスパイス、カトラリーなどの小さな道具を納めたようです。





簡素な松材は乾いて枯れて、台所の壁でよく働いてきたのを物語っています。



適度な装飾と木材の軽みに宿るフランスらしさ。キッチンはもちろん、洗面所に置いても良さそうです。


壁掛棚 フランス19世紀末~20世紀初頃
H36.5cm W29cm D13.5cm






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2018.10.13 sat - 21 sun




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